約3割といわれるアマンタジン耐性株の出現率は決して低いとはいえない。 そこで、新たな抗インフルエンザ薬の誕生が、長く待たれることになったのである。

インフルエンザウイルスは、ノイラミニダーゼの助けなしには細胞から細胞膜へ拡散できない。 ならば、それと結合する部分を不活化する薬ならインフルエンザの万能薬となるはずである。
そして1993年に、ビクトリア薬科大学(オーストラリア)のイッスタインらが、インフルエンザのノイラミーダーゼに対する強力な阻害薬を完成させた。 これがザナミビル(商品名恥リレンザ)である。
ザナミビルは、感染する前に投与すると予防に、感染後には症状を軽減させることもわかった。 ザナミビルのノイラミニダーゼに対する阻害特異性は非常に高く、変異したウイルスに対しても強い抗ウイルス作用を示す。
またアマンタジン耐性株に対しても、1997年に流行した新型ホンコンウイルス株に対しても、阻害作用を示した。 ザナミビルが優れているところは、薬剤耐性を非常につくりにくいところにある。
治験を開始したのち、主要国で感受性のモニタリングを実施しているが、耐性株の報告はわずか一例だけで、それもきわめてハイリスクの症例(免疫力の著しく低下した骨髄移植後の18か月齢の小児)でのものであった。 副作用についても、重篤な副作用は認められず、ほとんどないといっていい。
これらの効果は、ザナミビルが先ほど触れたノイラミニダーゼの変異しない部分を標経口薬オセルタミビルの誕生的にしていることからくるものであろう。 あらゆるタイプのウイルスに有効で、耐性を作らず、予防効果もある。
ただ、一つだけ難点がある。 それはザナミビルは経口投与では消化管から吸収されないため、口から粉末を吸入しなければ効果がないということである。
小規模な試験では、ザナミビルは注射での投与も有用であるとされているが、主として吸入で服用する薬である。 しかし、日本人は一般的に吸入剤があまり得意ではない。

特に高齢者や病気の人では、むせて吸入できず、薬を感染部位に到達させるのがむずかしいという問題がある。 非常に効果があるが、少し使いづらいというのが客観的な評価となろうか。
また残念なことに、1999年末に承認されたものの、現時点では、まだ薬価収載されていないため、販売はなされていない。 ザナミビルから少し遅れて、ギリアドサイエンシーズ社とホフマンラはある物質を発見した。
これは、ザナミビルの経口薬版ともいうべきもので、ミビルと名づけられた(商品名亜タミフル)。

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